今週の一句~茅花流し(つばなながし) 角川照子

 

 

もう一度茅花流しに立ちたしよ    角川 照子(かどかわ・てるこ)

 

「茅花流し」は初夏の季語。

茅花が絮状になる頃に吹く風のことである。
しかし、私は、「茅花」の群れを吹き抜ける風、そしてそれにたなびく「茅花」の群れと鑑賞したい。

歳時記には、

雨気を含んだ南風を指す

ともあるが、夏の爽やかな風をも私は感じる。

 

掲句は「河」主宰、角川照子先生の絶唱。

句意は字の通り。

照子先生の句はどれも素直で、正直である。

自分の死を間近に意識した時、先生が思い出した風景は茅花流しに佇む風景だった。

夫・角川源義の句に、

 

妻恋へば七月の野に水の音

 

があるが、私は、いつもこの句とセットで掲句を考える。
 
源義が、妻を恋う。
 
その恋しき、照子先生は茅花流しに佇んでいる。
 
そんな風景がいい。

今週の一句~茅花流し(つばなながし) 角川照子」への2件のフィードバック

  1.  林 誠司さま
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      どうぞ今後もご活躍ください。    俳句アトラス 林

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