句集・結社誌を読む34~「白鳥」第50号

「白鳥」第50号

 

「白鳥」第50号

主宰 髙松文月  編集 関口鉄人

結社誌・季刊・創刊平成18年・埼玉県さいたま市・創刊 髙松文月

 

通巻50号を迎えた。

「人間や自然そしてもう一人の自分との出会いを大切に、客観的表現を目指す」を理念とする。

 

結社名は「白鳥」、主宰の句集も「白鳥」。

巻頭エッセイを読むと、文月主宰は白鳥を見たくて新潟まで出かけた、と書いてある。

「白鳥」の姿に、自身の、結社の目指す詩歌の美の象徴を見ているようである。

 

主宰作品「花野」より

花野までリフトに二人きりの空

月光を容れ深まりぬ湖の黙

白鳥のほかは愛すること知らず

 

とくに「白鳥」の句がいい。

「白鳥」への愛着がよく伝わって来る。

 

会員作品より

ペンギンの踵滑りよ秋の水    東城 伸吉

寝ていれば顔切りに来る冬の鵙  奥山 雷火

盆提灯点せば故人居るごとし   佐藤 義雄

出張はいつも寝台赤とんぼ    関口 鉄人

夢にゐる花野の中の人は誰    橋本 永子

あぜ道を一筆書きに曼珠沙華   羽鳥 たま江

手の甲の太き静脈秋暑し     水川 聖子

水仙に拡がる海の怒濤かな    中山 一路

揺れ合うて花野の風は四方より  加藤 節子

紅葉の中に溶け行く車椅子    武井 猛

登りきて一望千里大花野     杉山 弘詩

 

「文月俳句拝見」(「白鳥」第49号より)を山口素基氏が担当。

「エッセイ~郷関徒然」では、中山一路氏が、奈良の「お水取り」について執筆。

私も奈良のお水取りはよく通ったので、興味深い。

「新刊紹介」では文月主宰が、大牧広「港」主宰の句集『朝の森』を鑑賞している。

その他にたくさんの連載、吟行記事などが掲載されて「全員参加」の活気を感じる雑誌である。

 

 

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