句集・結社誌を読む22~「好日」創刊800号記念特別号(平成30年11月号)

 

 

「好日」創刊800号記念号

「好日」創刊800号記念特別号(平成30年11月号)

主宰 長峰竹芳 編集 川合憲子

結社誌・月刊・通巻800号・東京都江戸川区・創刊 阿部筲人

 

平成27年に創刊、詳しく調べていないが、創刊も千葉県。

千葉県を中心に活動を続けている。

組織も大きい。

長峰主宰は4代目主宰。

巻頭に「歴代主宰の短冊」が掲載されている。

虫鳴きし所昼間は跡方なし   (初代)阿部筲人

元朝の松籟おこるかと思う   (二代)星島野風

楪や農俳一世たるもよし    (三代)小出秋光

引力はときどき曲がる芒原   (四代)長峰竹芳

巻頭エッセイ「創刊八百号を迎えて」では、「創刊」についての経緯を簡単にではあるが触れている。

阿部筲人は新俳句人連盟設立にも参加した新興俳句系作家だったが、戦後俳句の一部の人々による「性急さ」に、俳句本来の姿を見失う恐れがあると判断し、「好日」を創刊した、とある。

エッセイでは、「創刊の辞」の趣旨を説明している。

一部抜粋する。

俳句の限界を明確に認識しつつ、自他相通じる人間性を実現しようという趣旨が述べられている。

そして主義主張を掲げることなく、俳句という形式の中で一人一人の個性を発揮できる場をつくることをこころざした。

ここで、特徴的なのは、

俳句の限界を明確に認識

というのと、

主義主張を掲げることなく

である。

「俳句の限界」とはどういうことであろうか。

創刊のいきさつから察すると、

俳句は主義主張やスローガンを盛るものではない。

と思われるが、これは推量である。

それゆえ、

主義主張を掲げることなく

ということになるのかもしれない。

広く考えれば、「限界」と言いつつも、俳句を自由に詠み、俳句の無限性を考えたい、と考えたのかもしれない。

そして、

俳句は孤高の詩ではなく、衆の文芸であることも認識したい。

仲間や同好の士とともに相研鑽し、自己を高めることに意味がある。

と述べている。

主宰及び会員作品を以下に。

好日の日々あり一粒づつ葡萄     竹芳

竹林をゆき芳しき秋と思ふ

私小説めきし日のあり衣被

歳月の声立てず逝く水の秋      蔦 悦子

なるやうになるが口癖鰯雲      吉木フミエ

裏庭に重石が二つ秋の風       小原澄江

草の実や生家といふは海の音     川合憲子

誰彼にかまはれ金魚太りけり     髙橋健文

水澄んで何もなき空あるばかり    橋本敏子

ハイカラのはじめ横浜涼あらた    渡辺順子

向日葵の枯れてこれより傍観者    石井 稔

秋風に開く古民家文化財       宇佐見輝子

唐突に割れて石榴の光りけり     梶間淳子

声掛けは大事な絆秋の風       髙田秀雄

生きるとは残されること秋日傘    寺内由美

美しくパスタ巻きとる九月かな    広畑美千代

わたしだけ降りるバス停望の月    原田美佐子

百選の水の城下や柿日和       潮 桂子

やはらかき畑となりて大根蒔く    川俣婦美子

 

記念号らしく、誌面は十分のボリューム。

通常の作品集、連載以外にも、

「好日」八百号までの歩み   内田庵茂(12ページにも及ぶ大作)

三賞受賞者新作品       三賞受賞者

八百号記念作品集

好日叢書目録(過去の句集一覧)

また、

平成三十年度「好日三賞」発表

好日賞 須田眞里子

青雲賞 藤田由起

白雲賞 広畑美千代

受賞作品の他、審査員の丹念な選評が掲載されている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。