佐藤日田路句集『不存在証明』が「好日」2020年6月号で紹介されました!

 

佐藤日田路(さとう・ひたみち)、昭和28年生まれ。

平成20年、「ロマネコンテ」入会、同人(休会中)。

平成21年、「海程」入会、27年、退会。

平成24年、句会ブラン代表(休会中)。

平成29年、「海光」会員。

「亜流里」会員、現代俳句協会会員。

第一句集。

「跋」に常に独創的で奥深く、自己の内面と向き合い、感じたことを率直に表現している、とある。

 

啓蟄や仮面土偶に妊娠線

亀鳴くや眠りの浅き電子辞書

春哀し海へはみ出すチョココルネ

 

彼にとって俳句は〝俳諧と詩のせめぎ合い″にあるのだろう。(林誠司「海光」代表)

 

陽炎や妻にかすかな火の匂い

青空を動かさぬよう魞を挿す

サーカスの転校生と桜餅

踵うつくし霜柱踏めばもっと

脳味噌をざぶざぶ洗う春キャベツ

シナプスの放電青き入学子

ただ濡れているだけでよい蝌蚪の紐

色鯉の口に暗黒入りけり

春愁のどこを切っても赤と黒

名をつけて子は親となる著莪の花

勉強がきらいな僕と蝸牛

作る人いつか乗る人茄子の馬

手を追えば足を忘るる踊笛

芋の露母さん僕は元気です

心臓に手足が生えて阿波踊

穴惑いあなたが尻尾踏んでいる

懐手笑いどころを間違える

肉体は死を運ぶ舟冬の月

 

「あとがき」に、私は十代から詩を始めた、私にとって俳句の短さが心地よい、できるなら硝子の心臓が鼓動するような情感を表現したい、と言う。

(俳句アトラス 2273円+税)

 

―「好日」2020年6月号 新著紹介 執筆・片岡伊つ美―

 

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