刊行句集のご紹介~加藤房子『須臾の夢』

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『須臾の夢』(しゅゆのゆめ)

著者:加藤房子(かとう・ふさこ)「千種」代表(第二句集)

 

楽しとは生涯未完亀鳴けり

 

「千種」創刊10周年記念出版

「秀」で磨き「千種」で完成した

鋭敏な詩性と抒情

 

※須臾とは?…一瞬、束の間

収録作品より

あづまはや根の国へ振る夏帽子

杉の秀(ほ)に触れなば氷輪砕け散る

落とされし生命(いのち)鮮やか桃摘花

寒卵こくり寂しと喉仏

蛇の衣水にくねりし一裸身

白梟首をぐるりと月隠す

うらぎりの快楽に眠る冬の蛇

晦日蕎麦過去も未来も須臾の夢

風花を享けし片耳愛を聞く

大仏に背負はれて山笑ひけり

生も死も影の相寄る大干潟

夏の霧寡婦も湿生花のひとつ

血縁に薄くまくなぎ連れ歩く

虹渡る途中がよろし幕切れは

蛤になる後ろ指さされても

 

著者略歴

昭和9年 神奈川県横浜育ち、横浜在住。

「風花」を経て、小枝秀穂女に師事し「蘭」(野澤節子)入会。

小枝秀穂女「秀」創刊に参加。

秀賞などを受賞。

平成19年 「秀」終刊

平成20年 「千種」創刊、代表。

横浜俳話会副会長

 

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