東條純三『百薬之長』出来ました!

 

句 集:百薬之長(ひゃくやくのちょう)

著 者:東條 純三(とうじょう・じゅんぞう)

 

白魚漁きらめくものを掬ひけり

純三さんの句には、正直に誠実に生きて来られた人柄を感じます。

写生尊重の落ち着いた詩情でありますが、

典型を超えた人生を送られた作者ならではの、

思いがけないことばの構成力にも出会います。

-古賀雪江「雪解」主宰-

 

収録句より

残雪の連山をのせ湖たひら

山鳥に耳から覚める三尺寝

捨てきつて空の抽斗冬に入る

神農祭まづ百薬之長を得ぬ

雪雲の高さに竹田城址あり

酒すこし落すをとこの七日粥

みづうみへ星座の傾ぐ夜寒かな

ヘルパーのみんながサンタ降誕祭

消毒の指の先より冴返る

茄子の牛作り訪問介護終ふ

現身を映せる雛の鏡かな

われの後蝶の来て飲む山清水

手袋に介護終へたる指をさめ

 

定価:2,500円(税込)

雪解選書372

 

【著者略歴】

千葉県市川市在住

昭和23年 北海道生まれ

平成13年 「雪解」入門

平成27年 「雪解」座の座賞

平成28年 「雪解」新人賞

現在、「雪解」同人、俳人協会会員

 

 

 

 

小宮澄江『若菜』出来ました!

 

句 集:若 菜(わかな)

著 者:小宮 澄江(こみや・すみえ)

 

竹竿を空に廻して栗落とす

俳句の楽しさ苦しさをあじわいながら今日に至りました。

米寿を迎え、今まで生きてきた証として

句集を遺すのが最高の遺品だと考えました。

-「あとがき」より-

序文:林  誠司

 

収録句より

雨ふりて女人高野のとろろ汁

百選の水つめこんで山笑ふ

山鳩のくぐもる声や良寛忌

濡れながら光つてをりぬ甘茶仏

川に散り川へせり出す冬紅葉

吊し雛雀も貝も子ねずみも

春うららファミレスにある授乳室

吊橋や瀞にたゆたふ花の塵

放たれて鳩はみ空へ敗戦忌

ふるるたび仏間の桜こぼれけり

リラ冷えや米寿に届くファッション誌

歳時記の角すりきれて年暮るる

 

私家版

 

【著者略歴】

埼玉県日高市在住

昭和8年 埼玉県狭山市生まれ 

平成21年より作句、「海」に入会

平成30年 「海」同人

令和3年  俳人協会会員

令和4年  「海」退会

平成24年 日高市文化祭俳句大会にて市議会議長賞

令和4年   日高市文化祭俳句大会にて市議会議長賞

現在、「星雲句会」(会長・佐藤隆夫氏)「梅句会」(指導・水村治雄氏)に所属

 

 

 

松本余一『懺悔室』出来ました!

 

句 集:懺悔室(ざんげしつ)

著 者:松本  余一(まつもと・よいち)

 

薄情の世に慣れてをり甘茶仏

私は前向きに、あるいは楽しい人生を目標に、「生きていてよかったと思える老後」のために、生きて来たので決してない。選ぶ余地のない、仕方のない、そしてぎりぎりなところを生きてきた、と言ったほうが当たっている。

ー「あとがき」よりー

 

収録句より

死ぬ前にみんな笑うて花の雲

啓蟄やみんな三十七度五分

不登校は勇気要ること葱坊主

水筒のつめたい緑茶夏期講座

矢車や夜は星座を駆けめぐり

炎天下まだけりつかぬまま訃報

君すでに寝たきりとなる花野かな

残菊や好きに咲いたら好きにしろ

鷹の目に水の星だとわかるまで

友だちは女性ばかりや枇杷の花

早梅や自分のことで精一杯

日溜りは余生の為に野水仙

 

ISBN978-4-909672-33-9  定価2,750円(税込)

跋文:林 誠司

 

【著者略歴】

本名・成雄   東京都小金井市在住

昭和14年 東京都小金井市生まれ

昭和37年 青山学院大学文学部英文科卒

平成29年 NHK学園「土曜俳句教室」受講、「ひろそ火」入会、木暮陶句郎に師事

平成31年 第20回NHK全国俳句大会 入選

令和2年  第8回ひろそ火賞 佳作

       第21回NHK全国俳句大会 秀作

       第23回夢二俳句大会 上毛新聞社賞

令和3年  第9回ひろそ火賞 佳作

       第22回NHK全国俳句大会 入選

       「海光」入会、林誠司に師事

     句集『言霊』刊行

令和4年  句集『ふたつの部屋』『言霊Ⅱ』刊行

 

野田冷峰『曙光のガレ場』出来ました!

 

 

句 集:曙光のガレ場(しょこうのがれば)

著 者:野田 冷峰(のだ・れいほう)

 

シングルマザーつかず離れずお月さん

冷峰さんが生み出す一連の作品は、現代における社会性俳句と言っていい。

社会性俳句を定義することは難しいが、彼の作品には、戦争・原爆・事件・格差社会・生活困窮・過疎化など、あらゆる社会問題や不条理に関心を持ち、事件記者としての鋭い視線と、市井人としての優しさの融合をもって詠いあげる、豊かで切ない詩情が顕著である。        ―林 誠司―

 

【収録句より】

子を連れて詫びたあの日の月夜かな

エノラゲイ雲間に見ゆる聖夜かな

夜食にも一行詩あり子らの飢

夏山の移動販売婆が待つ

黒葡萄刑執行の房重し

非正規を生きてサクサク霜柱

三十年御巣鷹の尾根露しぐれ

君が代にそむく一輪菫咲く

つまずけば呼ばるる思い秋彼岸

山茶花や妻在りし日も逝きし日も

波照間の水平線に銀河澄む

身に入むや弾圧史碑に蝌蚪一匹

敗戦日現人神の罪と罰

ISBN978-4-909672-31-5  定価2,750円(税込)

 

【著者略歴】

東京都東久留米市在住  本名:幸雄(ゆきお)

1942年 東京都豊島区池袋生まれ

1961年 日本経済新聞社入社 編集局工業部中小企業課配属、商店街担当記者

1966年 社会部に転属、事件記者 

     以来、記者生活30有余年を主に事件取材で過ごす。

1995年 法務室長

2000年 役員待遇

2006年 定年退職

俳句は1997年よりスタート。

日経社会部OB句会「酔吟会」に参加、その後「日経俳句会」「番町喜楽会」「谷端川句会」「谷中句会」などに参加。

2016年 俳句愛好誌「海光」(代表:林誠司)に創刊より参加

NPO法人大明理事、「海光」同人

 

 

飛鳥もも『壺中の蝶』出来ました!

 

句 集:壺中の蝶(こちゅうのちょう)

著 者:飛鳥 もも(あすか・もも)

 

この生を詩に咲かせたし柿の花

作者は短い人生を詩的抒情性をもって、自然とともに十七音にこめる。

菜の花は故郷や母の歌声を思い出させ、月を見れば父の魂に話しかける。

しゃぼん玉は残りの生の儚さを象徴する。

水や石は春の光にふくらむ。

作者の詩魂は夢の蝶に化身して、壺中で自由に飛びまわる。

俳句という〝壺中〟に造化の不思議がこめられる。

―坂口昌弘-

 

【収録句より】

その席は君がかがやく花ミモザ

ひだまりの石のふくらむ桃の花

夢ごこち出入り自由の壺の蝶

頬杖はときに道草春の雪

現し世の光集めてしやぼん玉

昔から君は壺中で遊ぶ蝶

打ち水の乾き月日は飛ぶやうに

水音やあぢさゐの青ふくらます

夫の背やいづれは一人夏蜜柑

忙しいを美学のやうに蟻地獄

引力と浮力の関係夏の恋

白日傘ひらいて今日の翼とす

もう父を召させ給へよ冬椿

ISBN978-4-909672-30-8  定価3,300円(税込)

 

【著者略歴】

兵庫県川西市在住

1952年3月 大分県日田市出身

現・大分県立日田三隈高等学校卒業

 

1972年 大阪にて就職

1981年 独立

2014年 退職

 

 

 

 

 

荒川心星(「鴻」顧問)『旦夕』出来ました!

 

句 集:旦夕(たんせき)

著 者:荒川 心星(あらかわ・しんせい)

 

菊焚いてこの世といふは遊びごと

著者が卒寿という歳月を貫き通して来たものは、詩人としての遊びごころであろうか。逢えば暮らしを語り、夢を語る著者の遊びごころが美しき詩を生み出している。

-増成  栗人「鴻」主宰-

 

【収録句より】

爽やかにあり一瀑の水こだま

亡き母に語りかけては黒穂抜く

遠きものばかりが見えて螢の夜

百の薔薇咲きゐて百の日向あり

熔岩原を踏めば晩夏の声がする

貝風鈴しんそこ青き月のぼる

澄みきつてをり旧盆の潦

潮騒を聴き手花火を落とし合ふ

棉吹いて吹いて鴻司の忌でありぬ

歩を止めよなづなはこべら咲く辺り

十二月病む妻の手のあたたかし

この家に生れしはむかし麦の秋

 

 

ISBN978-4-909672-28-5   定価2,800円(税込)

 

 

【著者略歴】

愛知県知立市在住。

1931年 愛知県豊田市に生まれる

1970年 「松籟」入会

1972年 「河」入会

1975年 「松籟」同人

1978年 「河」同人

2006年 「河」退会

2007年 「鴻」入会

2012年 「鴻」蒼韻集同人

現在 俳人協会会員、「松籟」天韻集同人、「鴻」特別顧問、「星の道」主宰

知立市文化協会文化功労賞受賞(2005年)

 

 

 

松本余一(「海光」同人)句集『ふたつの部屋』出来ました!

 

 

句 集:ふたつの部屋(ふたつのへや)

著 者:松本 余一(まつもと・よいち)

【序 文】林 誠司「海光」代表

 

ゲルニカの馬にたづねよ八月来

驚くのは余一さんの俳歴が僅か四年ほどであり、これらの作品群がほぼここ一年の作であることだ。

氏の作品には揺るぎない文学的志が宿っており、作品全体に情熱がみなぎっている。

―林 誠司—

 

【収録句より】

てのひらが包まれてゐる春日かな

目隠しをほどく手やさし花の雲

うららなり眠るも死ぬも眼鏡とる

風鈴や買ふとき風に好かれたる

森青蛙すこし動いて泡のなか

伊予みかん目の前あがる夏の月

復活はだれにもあつて万年青の実

この川にまぎれてゆけば秋の海

きのふよりけふの松島ななかまど

幸せは大地すれすれ福寿草

リハビリの様子問はるるラクダシャツ

咲いてゐるつもりのなくて返り花

 

ISBN978-4-909672-27-8   定価2,750円(本体2,500円+税10%)

 

【著者略歴】

本名・成雄

昭和14年 東京都小金井市生まれ

昭和37年 青山学院大学文学部英文科卒

平成29年 NHK学園「土曜俳句教室」受講、「ひろそ火」入会、木暮陶句郎に師事

平成31年 第20回NHK全国俳句大会 入選

令和2年  第8回ひろそ火賞 佳作

       第21回NHK全国俳句大会 秀作

       第23回夢二俳句大会 上毛新聞社賞

令和3年  第9回ひろそ火賞 佳作

       第22回NHK全国俳句大会 入選

       「海光」入会、林誠司に師事

     句集『言霊』刊行

 

《住 所》〒184‐0012 東京都小金井市中町1‐7‐16

石田雨月(「ひまわり」同人)句集『諸葛菜』出来ました!

 

 

句 集:諸葛菜(しょかつさい)

著 者:石田 雨月(いしだ・うげつ)

【序 文】西池 冬扇「ひまわり」主宰

【跋 文】西池みどり「ひまわり」副主宰

 

両切りのピース吸いいし夏野かな

風雅の誠の求道者・石田雨月さんは情の人であり、家族愛にみちた人である。

庶民の気持ちを格調をもって詠じる風流師である。

ますます自由の境地で句の世界を広げていってほしい。

-西池  冬扇-

 

【収録句より】

踊り子に余寒の舞台回りけり

サッカーの傷を洗えば鳥わたる

病棟にたれか笛吹く秋の暮

なお白し霧のゆくえの男郎花

雪折れの赤松ならん無言館

春の夜の絵皿に試す墨の色

柔道着無口にたたみ夏終る

大塔へ寺の傘借る花の雨

昨日今日とつなぐ命や梅白し

鳴き龍を鳴かせ我が子と秋惜む

 

ISBN978-4-909672-25-4  定価2,500円(税込)

 

【著者略歴】

本名・秀憲(ひでのり)

昭和22年8月 徳島県鳴門市撫養町に生まれる

昭和59年6月 「ひまわり」俳句会入会、高井北杜先生に師事

平成8年5月   西池冬扇、みどり両先生に師事

《現 在》 「ひまわり」幹部同人 俳人協会会員

《連絡先》 〒771-0360 徳島県鳴門市瀬戸町明神字下本城207

 

 

大木雪香(「海光」編集長、「青垣」会員)句集『光の靴』出来ました!

 

句 集:光の靴(ひかりのくつ)

著 者:大木 雪香(おおき・せつか)  第一句集

【序 文】渡辺 誠一郎「小熊座」編集長

 

薫風やテトラポッドの半乾き

彼女の俳句が、他の俳人の作品とは明らかに違ってみえた。

どこか危なっかしい言葉の斡旋が逆に新鮮だった。

―渡辺 誠一郎(序に代えてより抜粋)

 

【自選十句】

初鰹海から放り出されけり

星同士くつつきさうな熱帯夜

水揚げの鰯吐かるる太さかな

秋天をぐるぐる廻すいろは坂

きのふより胸のふくよか菊人形

冬紅葉日本語でしか言へぬ色

太陽から逃げ出すやうにスキーヤー

山茶花や箒の音のたてよこに

春の波とろりと靴を襲ひ来る

まつすぐに街は展けて花水木

ISBN978-4-909672-23-0  定価2,400円(本体2,182円+税10%)

 

【著者略歴】

大木 雪香(おおき・せつか)

本名:大木 深雪(おおき・みゆき)

1973年  千葉県松戸市生まれ

2003年 「埋み火の会」入会(指導 剱持 靖子)

2013年  第4回北斗賞第2位

2016年 「海光」入会(代表 林 誠司)

2017年 「海光」編集長

2020年  第16回日本詩歌句随筆評論協会賞4部門受賞

      詩部門:奨励賞 短歌部門:優良賞 俳句部門:奨励賞 随筆部門:協会賞

2021年 「青垣」入会(代表 大島 雄作)

 

《現 在》「海光」編集長、「青垣」会員、「埋み火の会」会員、俳人協会会員

《メール》imomushi_smile092012070107@yahoo.co.jp

神奈川県川崎市在住

 

角川春樹(「河」主宰)句集『オー・ソレ・ミオ』出来ました!

 

句 集:オー・ソレ・ミオ

著 者:角川 春樹(かどかわ・はるき)

 

たんぽぽのぽぽを抱きしめオー・ソレ・ミオ

 

私にとって詩歌とは「いのち」と「たましひ」の器であり、「永遠の今」を詠うことだと確信している。

―角川春樹(あとがきより)―

 

【収録句より】

一行の詩に生かされて花行脚

ゆく春やあられ泛きたる鯛茶漬

敗戦日そして、それから本生まる

卒園の空に吾子ありオー・ソレ・ミオ

鱈汁にいのちぬくもる家族の灯

子はいつか父を超えゆく龍の玉

深吉野の天へつらなる花廻廊

子と歩く今日あたらしき靴白し

妻と子と源義の月を仰ぎけり

寄せ鍋や詩歌(うた)は生活(たつき)の中にあり

父として生きたし吾子に屠蘇を注ぐ

魚は氷に上り沖には未来あり

あんず酸つぱい吾子の笑顔がきれい

 

ISBN978-4-909672-22-3  定価2,750円(本体2,500円+税10%)

 

【著者略歴】

角川 春樹

昭和17年1月8日富山県生まれ。

國學院大學卒業。
父・源義が創業した角川書店を継承し、出版界に大きなムーブメントを起こす。抒情性の恢復を提唱する俳句結社誌「河」を引き継ぎ、主宰として後進の指導、育成に力を注ぐ。平成18年日本一行詩協会を設立し、「魂の一行詩」運動を展開。

句集に『カエサルの地』『信長の首』(芸術選奨文部大臣新人賞・俳人協会新人賞)、『流され王』(読売文学賞)、『花咲爺』(蛇笏賞)、『檻』『存在と時間』『いのちの緒』『海鼠の日』(山本健吉賞)、『JAPAN』(加藤郁乎賞)、『男たちのブルース』『白鳥忌』『夕鶴忌』『健次はまだか』『源義の日』など。

著作に『「いのち」の思想』『詩の真実』『叛逆の十七文字』『角川源義の百句』、編著に『現代俳句歳時記』『季寄せ』など多数。

 

俳誌「河」主宰、角川春樹事務所社長。