第31回村上鬼城賞佳作集~抜井諒一、松本みゆき、飯塚柚花

佳作 抜井諒一「とこしなへ」

山よりも麓の村に春の雪

残雪や岩のごとくに砕けたる

紙袋より猫の子の顔出せる

正直に寝坊と述べぬ新社員

山桜まで続きたるけもの道

枝のすぐそばの空より散る桜

花屑に埋め尽くされし筵かな

散つてゆく色づいてゆく冬紅葉

風花の止みてどこにもなかりけり

 

佳作 松本みゆき「風となる」

新緑の風の生まるる駅で下車

一島は万緑のなか鳶の空

夏帽子青き木洩れ日拾ひゆく

清水てふ山の鼓動を掬ひけり

ががんぼの風に吊られてゐる自由

雑巾の乾き切つたる休暇明

つぎつぎと風に飛びつく草の絮

廃線は過去その先は冬銀河

大凧のゆるがぬ意志をぐいと引く

花屑をつけ子の尻が吾の膝に

 

佳作 飯塚柚花「ひとりになりて」

今の色今だけの色木の芽吹く

石鹸玉父の高さと子の高さ

花の声ひとりになりて聞こえくる

母の日の配達人の笑顔かな

アクセサリー何もつけない風薫る

蓮の葉をこぼれてただの水となる

みな汗の匂ひをさせて起きてくる

釣竿と部活の道具もつて夏

びつしりと鳥の止まれぬほど冬芽

山肌を隠し山襞見せて雪

 

 

第31回村上鬼城賞受賞作品~「聖樹」涼野海音

「聖樹」  涼野海音

成人の日の靴墨のひかりかな

恋猫と手鏡ほどの水たまり

かげろふへ短き橋を渡りけり

少年の額あかるし鳥の恋

永き日の海のにほひの石ひとつ

海みゆる珈琲店のヒヤシンス

春惜しむ楽譜かかへてゐたる子と

五月来る森の中なる神学部

誰もゐぬ港に虹の立ちにけり

終点の駅は小さし雲の峰

アメリカの地図を開いて端居かな

ただ遥かなり先生と夏の海

夕顔のかたはらの子に名をききし

どの草もよき名をもちて秋に入る

マラソンのゴールに大樹初嵐

草市のはじめつめたき風の中

長生きのにはとりに水澄みにけり

橋姫の話しばらく月の客

月さして亡き人の杖くもりなき

ジーンズの膝にさす日や小鳥来る

山々は高さ競はず雁渡し

街の灯のとほき団栗拾ひけり

うどん屋の奥のひと間や初時雨

極月や子豚重なり眠りたる

陵の森深く入る冬帽子

冬帝へ開く植物園の地図

妻もなき子もなき家の聖樹かな

地図になき道に狐火消えにけり

夭折は子規のみならず雪蛍

どの島も灯りて年の逝きにけり

季刊俳句誌「パティオ」創刊記念祝賀会

 

「パティオ」2018年秋号創刊号

天の河の尾に一舟を繋ぎあふ     環 順子

 

9月16日(日)、「季刊俳句誌パティオ」創刊記念祝賀会が東京・如水会館にて開催された。

「パティオ」は季刊結社誌。

主宰は環順子さん。

環さんは、亡き小澤克己主宰「遠嶺」の主要同人で、後継誌「爽樹」で活躍した。

 

当日は、

主宰挨拶 環 順子

来賓祝辞 大高霧海「風の道」主宰

     大竹多可志「かびれ」主宰

     小山徳夫「爽樹」名誉顧問

     川口 襄「爽樹」代表(祝辞・司会代読)

乾杯   伊藤伊那男「銀漢」主宰

来賓紹介

句会会員紹介

句会運営委員紹介

右端・環順子主宰

などが行われた。

来賓は上記4名の他、

天野小石「天為」編集長

中戸川由美「残心」主宰

日下野仁美「海」副主宰

など。

 

「パティオ」とは「中庭」という意味。

「遠嶺」「爽樹」という結社誌を踏まえ、俳句を愛する人たちの交流の場でありたい、と名付けた。

「爽樹」名誉顧問の小山徳夫さんは、ともに小澤克己の意志を継ぐ者として、兄弟のように研鑽したい、と挨拶した。

小澤克己氏が提唱した「情景主義」俳句を新たに次ぐ結社誌が誕生した。

告知~じっくりと読む、松尾芭蕉「おくのほそ道」講座

じっくりと読む、松尾芭蕉「おくのほそ道」
 
【開催日】 9月6日(木)、9月13日(木)、9月27日(木)、10月4日(木)
【時 間】 13時半~15時半
【会 場】 荻窪地域区民センター
【講 師】 林 誠司
【費 用】 300円
【募集対象】 東京都杉並区在住、在勤、在学の方
【内 容】 芭蕉の生涯、作品の紹介。
      芭蕉は「旅」の何を求めたのか?
         「おくのほそ道」名場面の朗読と解説…など。
【申 込】  往復ハガキにて
※詳細は「荻窪地域センター」に問合せください。
 
 
 
荻窪地域区民センター

NEWS~「海」創刊35周年祝賀会

 

高橋悦男主宰(左)、日下野仁美副主宰

天城嶺に空も径なす蝉時雨  高橋悦男

(あまぎねに そらもみちなす せみしぐれ)

 

高橋悦男主宰「海」の創刊35周年祝賀会が、東京早稲田・リーガロイヤルホテル東京にて開催された。

悦男主宰は、野澤節子の「蘭」編集長を経て、40代で「海」を創刊。

以来、句作はもちろん、評論でも活躍、ユニークなところでは『俳句カタカナ語辞典』、つまり、カタカナ俳句ばかりを収録し分類した著作もある。

また、長く早稲田大学で教鞭をとり、現在は早稲田大学名誉教授である。

現在は、妻の日下野仁美さんが「海」副主宰、娘の日下野由季さんが編集長を務めている。

祝辞の中で、星野高士「玉藻」主宰が、「海」の運営体制を、

チームのよう

と評したが、「和を大切に」をモットーに、家族が一致団結して運営し、多くの会員が協力し、支え合っている感がある。

近年は由季編集長が山本健吉評論賞を受賞、仁美副主宰が指導句会のアンソロジー『花暦吟行集』(俳句アトラス刊)を刊行するなど、主宰だけでなく周囲の人々も着実に実績を上げ、注目されている。

当日は200名以上の来賓、会員が出席。

同人会長挨拶

主宰挨拶

のあと、

大串章「百鳥」主宰(俳人協会会長)

今瀬剛一「対岸」主宰

星野高士「玉藻」主宰

能村研三「沖」主宰(俳人協会理事長)

大牧広「港」主宰

落合水尾「浮野」主宰

の挨拶、

大高霧海「風の道」主宰

の乾杯、

来賓紹介

祝電披露

シャンソンライブ

主宰、副主宰への花束贈呈

副主宰謝辞

が行われた。村上鞆彦「南風」主宰を始め、由季編集長と同年代の若手俳人も多く参加していたのも印象的だった。

来賓に囲まれて

 

 

当日は『花暦吟行句会』(俳句アトラス刊)も出席者全員に配布された。

日下野仁美編著『花暦吟行集』

 

NEWS~「鳰の子」7周年祝賀会

柴田多鶴子「鳰の子」主宰

「鳰の子」創刊7周年祝賀会

(柴田多鶴子季題別句集、師岡洋子句集『水の伝言』出版祝賀会)

 

7月1日(日)、柴田多鶴子「鳰の子」の創刊7周年を祝う会が、京都市の新・都ホテルで開催された。

当日は柴田多鶴子主宰の季題別句集、師岡洋子同人の句集『水の伝言』の出版を祝う会も同時に行われた。

来賓は俳句関連出版の角川文化振興財団、邑書林、文學の森、俳句アトラスが出席し祝辞を述べた。

今週の一句~鳰(にお)の子 柴田多鶴子

http://haikuatlas.com/?ikku=%e4%bb%8a%e9%80%b1%e3%81%ae%e4%b8%80%e5%8f%a5%ef%bd%9e%e9%b3%b0%ef%bc%88%e3%81%ab%e3%81%8a%ef%bc%89%e3%81%ae%e5%ad%90%e3%80%80%e6%9f%b4%e7%94%b0%e5%a4%9a%e9%b6%b4%e5%ad%90

句集・結社誌を読む4~師岡洋子句集『水の伝言』

http://haikuatlas.com/?kushuu=%e5%8f%a5%e9%9b%86%e3%83%bb%e7%b5%90%e7%a4%be%e8%aa%8c%e3%82%92%e8%aa%ad%e3%82%80%ef%bd%9e%e5%b8%ab%e5%b2%a1%e6%b4%8b%e5%ad%90%e5%8f%a5%e9%9b%86%e3%80%8e%e6%b0%b4%e3%81%ae%e4%bc%9d%e8%a8%80%e3%80%8f

NEWS~金子兜太先生お別れ会

今年2月20日、98歳で亡くなった金子兜太さんのお別れ会が、6月22日(金)12時~、東京千代田区の有楽町朝日ホールで開催された。

長男・真土さんのあいさつ、宮坂静生前現代俳句協会他の弔辞、兜太さんをしのぶビデオが上映された。

「千種」10周年祝賀会、加藤房子代表第二句集『須臾の夢』祝賀会

加藤房子「千種」代表

 

 

 

楽しとは生涯未完亀鳴けり  加藤房子

 

6月15日(金)、「千種」10周年祝賀会および加藤房子「千種」代表第二句集『須臾の夢』(しゅゆのゆめ)出版祝賀会が、新横浜国際ホテル南館で開催された。

「千種」(ちぐさ)は平成20年6月、加藤房子さんが海老名で創刊した。

加藤代表は小枝秀穂女の「秀」の主要同人。

秀穂女の体調不良による「秀」終刊後、後継誌として「千種」を創刊。

第一句集『天平の鐘』から約20年ぶりの第二句集刊行である。

ちなみに『須臾の夢』は俳句アトラスの刊行。

俳句アトラスにとっても記念すべき第一号の句集刊行である。

司会進行は林節子「千種」同人。

木遣り入場によって開宴。

・加藤房子代表挨拶

・来賓祝辞 

 森田禄郎(神奈川県現代俳句協会前会長)

 大輪靖宏(「輪」主宰、上智大学名誉教授)

 松尾隆信(「松の花」主宰、俳人協会幹事)

・来賓紹介

・乾杯

 梶原美邦(「青芝」主宰、横浜俳話会会長)

・マスコミ関係者祝辞

・大庭照子コンサート

・花束贈呈   須川菜生

・謝辞  加藤房子

が行われた。

句集『須臾の夢』については後日、詳細に紹介したい。

加藤房子代表はこの20年間、薬剤師としての仕事をこなしつつ、ご主人との死別、自身の大病、「秀」終刊と「千種」創刊、身内の介護とまさに激動の時を過ごし、句集をまとめる余裕などはまったくなかった、という。

「秀」から引き継いだ「千種」を、多くの人たちの為に未来に残したい。

そのことを念頭に駆け抜けて来た。

第二句集刊行は「千種」が今、充実の時を迎えたことの証であり、房子代表の生活や詩心の充実の証である。

最後は一本締めで閉会。

和気あいあいとした楽しい会であった。