林誠司『俳句再考』俳句エッセイ集

著 書:俳句再考(はいくさいこう)

著 者:林 誠司(はやし・せいじ)

 

 

 

俳句に迷っている人のための俳句エッセイ集

芭蕉は俳句は〝自由な文学″と言った。芭蕉、蕪村、子規…、先人たちが作り上げた俳句を大きな文学として考え直したい。

 

林誠司は歩く人である。

即ち考える人である。

揺るぎのない芭蕉への思い、俳句への想い。

緩急の効いた文章は時に辛辣であるが心地よくもある。

-ふけ としこ-

 

〈目 次〉

第一章 俳句とは何か

第二章 俳句の諸問題

第三章 自己流俳句観、俳句史観

第四章 近現代俳句考察

第五章 俳句の鑑賞について

第六章 俳句と人生

 

芭蕉の時代から三百年以上、正岡子規の時代から百年以上経っている。が、現代俳句がより自由で大きな文芸になっているかと考えると心許ない。何より気になるのは芭蕉が言ってもいないこと、子規や虚子が言ってもいないことが、あたかも彼らの教えのように伝統化、ルール化されていることだ。芭蕉も子規も俳句と大きく考えていた。我々も俳句を大きな文学として考えたい。その為にもう一度俳句の素朴な疑問を考えてみる必要がある。

「あとがき」より

 

ISBN978-4-909672-29-2  定価2,200円(税込)

 

【著者略歴】

東京都荒川区南千住生まれ、神奈川県横須賀市在住

1990年 25歳より作句

1991年 俳句結社「河」に入門、角川照子、角川春樹、吉田鴻司に師事、在籍時に角川春樹新人賞、河新人賞を受賞

2001年 第1句集『ブリッジ』(第25回俳人協会新人賞)

2012年 第2句集『退屈王』

2016年 俳句愛好誌「海光」を創刊し代表就任

俳句総合誌「俳句四季」編集長、「俳句界」編集長を計16年在職。

《現 在》

俳句愛好誌「海光」代表

俳句出版社「俳句アトラス」代表

俳人協会会員

杉並区(荻窪・西荻窪・高円寺)、豊島区池袋、台東区谷中、立川市等で俳句講座講師

よみうりカルチャ―町屋、よみうりカルチャー北千住で「おくのほそ道」講座講師

「おくのほそ道を読む会」(荻窪)代表

東海道・中山道を踏破、現在、おくのほそ道踏破に挑戦中

 

 

 

 

 

川越歌澄句集『キリンは森へ』が第4回俳句大学大賞準賞を受賞しました!

 

第4回俳句大学大賞準賞  川越歌澄句集『キリンは森へ』

 

〈選考委員〉

岡田耕治 (大阪教育大学特任教授・「香天」代表)

木暮陶句郎 (「ひろそ火」主宰)

五島高資 (俳句大学副学長)

斎藤信義 (「俳句寺子屋」主宰)

仲 寒蟬(「牧」代表)

永田満徳氏 (俳句大学学長)。

 

〈選評〉五島高資

文學の森主催の第1回「北斗賞」の選考委員として、川越歌澄を「俳句の骨法をきちんと踏まえた上で決して気負わず、しかも独自の世界が展開されている。」として強く推薦した。今回の『キリンは森へ』では、川越歌澄という個人的、さらには集合的無意識を介して、高い詩境の展開を見せている。

 

第4回俳句大学大賞 ↓

https://blog.goo.ne.jp/mitunori_n/e/121923deac76b491152cff8e50cfc2a8

 

 

ひまわり900号記念大会

 

渦の海わたるはうつつ梅雨山河  高井 北杜

遍路ゆく潮のかがやき背に負うて  高井 去私

神々の若かりし頃椎の花  西池 冬扇

咲ききって真白になりぬ夏椿  西池 みどり

 

【日 時】2022年6月12日(日)

【会 場】JRホテルクレメント徳島 

 

〇開会の言葉

〇ご挨拶  会長・西池冬扇 主宰・西池みどり

〇来賓祝辞 大阪俳人クラブ会長、「河内野」主宰 山下美典

      京都教育大学名誉教授、元「船団の会」代表 坪内稔典

      俳人協会関西支部長、「かつらぎ」主宰 森田純一郎

      「なると」主宰 福島せいぎ

〇祝電披露

〇花束贈呈

〇表彰

〇受賞者代表謝辞

〇感謝状贈呈

〇900号記念事業基金の報告と御礼 同人代表・西條千津

〇祝宴

〇祝舞 「寿 二人三番叟」 ふれあい座

〇乾杯 東京支部長 佐藤戸折

〇祝吟 「朗詠」 江坂支部長 平尾紅葉

〇万歳三唱  野路菊支部長 赤澤佳寿子

〇お披楽喜

 

松本余一『ふたつの部屋』が読売新聞で紹介されました!

 

別れても別れても三椏の花   松本 余一

 

 

枝が三つに分かれる、だからミツマタというのだとか。

春になると、分かれた枝の先に黄色い鞠のような花を咲かせる。

ミツマタの木全体も大きな黄色い鞠のように見える。

植物の末広がりの増殖。

句集『ふたつの部屋』から。

 

―「讀賣新聞」2022年3月22日 四季 執筆・長谷川 櫂-

 

第33回日本伝統俳句協会賞 決定!

 

33回 日本伝統俳句協会賞 「はつけよい」鈴木風虎(すずき・ふうこ)

昭和24年生まれ、東京都文京区在住。「ホトトギス」。

 

第33回 日本伝統俳句協会新人賞 「花恋し」宮内千早(みやうち・ちはや)

昭和47年生まれ、群馬県高崎市在住。

 

佳作1席 「神戸三十景」藤井啓子

佳作2席 「北大農場」音羽紅子

佳作3席 「一、二、三、四、五」多々羅初美

佳作4席 「看護師として」多々羅紀子

佳作5席 「浅草に四季」藤森荘吉

 

※応募総数 143編

※未発表作品30句

※新人賞は50歳以下

※選考委員 岩岡中正、今井千鶴子、大輪靖宏、木村享史、辻 桃子、安原 葉

◎授賞式 6月26日(日)15時~ 都市センターホテル(東京都千代田区平河町)

 

 

松本余一句集『ふたつの部屋』が毎日新聞で紹介されました!

モスバーガーは老人も好き桃の花   松本 余一

 

モスバーガーという店が老人大歓迎なのだろうか。

それともモスバーガーのメニューのあれこれには老人のファンがついている、ということか。

両様に読めるところが句集「ふたつの部屋」(俳句アトラス)にあるこの句の楽しさだろう。

作者は東京都小金井市に住む。

ちなみに、私はモスバーガーの朝食セット「朝モス」のファンである。

 

―「毎日新聞」2022年3月2日 季語刻々 執筆・坪内稔典―

 

 

杉原青二句集『ヒヤシンス』が「山彦」11月号(2021年)で紹介されました!

 

俳句を始めて10年、次のステップのために刊行した。

 

ラフランス自由はどこかいびつなる

蛇泳ぐ川面にエノラ・ゲイの影

駅ビルのエアロビクスや三島の忌

 

問題意識旺盛な方である。

作者にとっての昭和とは「蛇泳ぐ」や「駅ビル」の句のように、消えることのなく脳裏に記憶されているのである。

批評の芯は固い。

 

三代のふぐりを見たる扇風機

満天に星を吐きたる大枯木

するすると紐下りてくる朧の夜

包丁を入れても笑ふ鯰かな

時代祭うしろ姿に足がない

 

二、三、四句目は何れも季語が象徴的に詠まれているから季語を越えての風景が見えて来る。

また、「三代の」「包丁を」「時代祭」の句は実に愉快。

こうした背景には中村猛虎氏が代表の「亜流里」の自由闊さゆえではなかろうか。

(令和3年9月9日、俳句アトラス、2,500円税込)

 

-「山彦」11月号(2021年)「受贈俳書紹介」 執筆・河村正浩-

 

 

大木雪香句集『光の靴』が「山彦」11月号(2021年)で紹介されました!

「海光」(林誠司代表)編集長の第一句集。

2003年より俳句を始め、2016年「海光」へ入会する。

 

薫風やテトラポッドの半乾き

滴りの深呼吸してをりにけり

ストローの吸ひ上げてゐる薄暑かな

水湧いてまだ水音のなかりけり

握られて鯵の光の厚みかな

足跡のそこだけ深き清水かな

膨らんで大きく縮む鳩小春

眠る山起こさぬやうに竹箒

 

2016年まで無所属という作者だが、一読して感性の良さが際立つ。

しかもごく自然な中で選び抜かれた言葉である。

中でも「水湧いて「握られて」「足跡の」の句は印象的である。

また、「滴りの」「ストローの」は感覚的な把握だが、実にうまく言い得ており、リズミカルな快さも印象的。

 

(令和3年8月28日、俳句アトラス、2,400円税込)

 

-「山彦」11月号(2021年)「受贈俳書紹介」 執筆・河村正浩-

 

 

西岡みきを句集『秋高し』が「山彦」11月号(2021年)で紹介されました!

「雲の峰」同人の第一句集。

釜山生まれだが、昭和19年、山口県熊毛郡周防国民学校、昭和40年、山口大学医学部大学院修了とある。

高松市在住。

平成18年、「雲の峰」に入会し、朝妻力に師事。

 

逆さまに雲の垂れゐる日暮時

ゆつくりと屋島を昇る朝の霧

風鈴を吊るし山風呼びにけり

トルコ産の松茸尽し子らも来て

妻と酌むバレンタインの日のワイン

母の忌や厨の蠅をそつと追ふ

犬連れて風と遊ぶ子秋高し

行く春の札所の辻に竹箒

 

実に平易で作者の姿や表情が浮かぶ。

日常の出来事や眼にした風景をそのまま叙したような句だが、それが俳句になるのは作者の人間性、向日性、気負いのなさであろう。

主宰の序文でも「徹頭徹尾真摯である」と述べられている。

この一書は風土と一体化した作者の日々の哀歓の諷詠である。

(令和3年7月15日 俳句アトラス 2,500円(税込))

 

-「山彦」11月号(2021年)「受贈俳書紹介」 執筆・河村正浩)-