第30回日本伝統俳句協会賞決定

第30回日本伝統俳句協会賞

宮下末子(みやした・すえこ)~能登の揚げ浜塩田

石川県鳳珠郡在住 昭和16年生まれ 「ホトトギス」「あらうみ」「田鶴」所属

 

第30回日本伝統俳句協会賞新人賞

小林含香(こばやし・がんこう)~プリズム

東京都日野市在住 昭和45年生まれ 卯浪俳句会 「花鳥」所属

 

※協会賞は協会会員を対象とした賞。未発表30句応募。

 

【本選選者】稲畑汀子 今井千鶴子 大輪靖宏 木村亨史 辻 桃子

【授賞式】平成30年6月9日(日) 東京・都市センターホテル

     日本伝統俳句協会通常総会 

俳人協会各賞決定!

第58回俳人協会賞  

伊藤伊那男(いとう・いなお)「銀漢」主宰 「然々」(しかじか)

第42回俳人協会新人賞  

日下野由季(ひがの・ゆき)「海」編集長 「馥郁」(ふくいく)

堀切克洋(ほりきり・かつひろ)「銀漢」同人 「尺取の道」(しゃくとりのみち)

第33回俳人協会評論賞  

青木亮人(あおき・まこと) 「『近代俳句の諸相』-正岡子規、高浜虚子、山口誓子など」

 

授賞式 3月5日 東京・京王プラザホテル 俳人協会総会にて

              

遠藤若狭男「若狭」主宰、死去

遠藤若狭男(えんどう わかさお)

「若狭」主宰。
1947年 福井県生まれ、神奈川在住。
早稲田大学卒。
鷹羽狩行主宰に師事し「狩」入会、「狩」編集長を経て、2016年「若狭」創刊、主宰。
句集に『神話』『青年』『去来』など、評論集に『鷹羽狩行研究』。
2018年12月16日死去。

こころざしわれに劣らぬ雲の峯    若狭男

枯野行く青年はもう振り向かず

俳人協会第2回「新鋭俳句賞」受賞作品~町田無鹿「生家」

「生家」    町田 無鹿(「澤」)

 

馬跳びの馬連なれり春の草

束にして土筆軋みぬわが手中

花冷の聖書くたりとひらきけり

花筵灯およばぬ一隅も

泣きやまぬ足下落花ふきだまる

菜の花や父の小さきオートバイ

百千鳥みるみる髪の結ひあがる

枕絵をうづめ踊字うららけし

断崖の沖かがやける薊かな

夏兆すプリマの胸のたひらかに

絵はがきの粗き漉き目やみどりの夜

敵七人あり蚕豆の莢ねじる

かをりたつ香水怒り激しければ

蛍見の草踏みしだかれて匂ふ

恍惚と花粉まみれや黄金虫

てのひらに融かすワセリン夜の秋

茄子の馬に手綱つけくれよと祖母は

棒四本立てて陣地や草の花

木犀や指もて均すタルト生地

薬草園巡回腰に鍵束冷え

小鳥来る紅あざらけき殉教図

教会の裏口灯る時雨かな

旅客車に眠るふたりや桃青忌

海鼠腸やパトロンにして女弟子

よき古書肆あればよき町八手咲く

生家遠し聖樹に綿の雪降らせ

息白く時折東京を憎む

冬ぬくし人語解する犬とゐて

校塔に金の校名春隣

書架に足す棚板ひとつ春立ちぬ

「鴻」全国俳句大会開催

増成栗人「鴻」主宰

 

増成栗人主宰(写真)の「鴻」全国俳句大会が、10月28日(日)、千葉県市川市の市川グランドホテルにて開催された。

当日は「鴻」同人、小澤冗氏の句集『ひとり遊び』(俳句アトラス刊)の出版祝いが行われた。

また、俳壇で話題を呼んだ『「八月や六日九日十五日」のその後』(鴻出版局)を刊行した小林良作氏などが表彰され、両氏に記念品が贈られた。

速報 第2回俳人協会「新鋭俳句賞」に町田無鹿(「澤」所属)さん。

俳人協会主催第2回「新鋭俳句賞」の公開選考会が、東京新宿・俳句文学館で行われ、

作品「生家」町田無鹿(「澤」所属)さんが受賞した。

50歳未満を対象とした30句応募による。

応募総数は61編。

写真は左より、進行担当の小澤 實氏、藤本美和子委員長、今井 聖委員、髙田正子委員、村上鞆彦委員。

 

 

 

第31回村上鬼城賞佳作集~抜井諒一、松本みゆき、飯塚柚花

佳作 抜井諒一「とこしなへ」

山よりも麓の村に春の雪

残雪や岩のごとくに砕けたる

紙袋より猫の子の顔出せる

正直に寝坊と述べぬ新社員

山桜まで続きたるけもの道

枝のすぐそばの空より散る桜

花屑に埋め尽くされし筵かな

散つてゆく色づいてゆく冬紅葉

風花の止みてどこにもなかりけり

 

佳作 松本みゆき「風となる」

新緑の風の生まるる駅で下車

一島は万緑のなか鳶の空

夏帽子青き木洩れ日拾ひゆく

清水てふ山の鼓動を掬ひけり

ががんぼの風に吊られてゐる自由

雑巾の乾き切つたる休暇明

つぎつぎと風に飛びつく草の絮

廃線は過去その先は冬銀河

大凧のゆるがぬ意志をぐいと引く

花屑をつけ子の尻が吾の膝に

 

佳作 飯塚柚花「ひとりになりて」

今の色今だけの色木の芽吹く

石鹸玉父の高さと子の高さ

花の声ひとりになりて聞こえくる

母の日の配達人の笑顔かな

アクセサリー何もつけない風薫る

蓮の葉をこぼれてただの水となる

みな汗の匂ひをさせて起きてくる

釣竿と部活の道具もつて夏

びつしりと鳥の止まれぬほど冬芽

山肌を隠し山襞見せて雪

 

 

第31回村上鬼城賞受賞作品~「聖樹」涼野海音

「聖樹」  涼野海音

成人の日の靴墨のひかりかな

恋猫と手鏡ほどの水たまり

かげろふへ短き橋を渡りけり

少年の額あかるし鳥の恋

永き日の海のにほひの石ひとつ

海みゆる珈琲店のヒヤシンス

春惜しむ楽譜かかへてゐたる子と

五月来る森の中なる神学部

誰もゐぬ港に虹の立ちにけり

終点の駅は小さし雲の峰

アメリカの地図を開いて端居かな

ただ遥かなり先生と夏の海

夕顔のかたはらの子に名をききし

どの草もよき名をもちて秋に入る

マラソンのゴールに大樹初嵐

草市のはじめつめたき風の中

長生きのにはとりに水澄みにけり

橋姫の話しばらく月の客

月さして亡き人の杖くもりなき

ジーンズの膝にさす日や小鳥来る

山々は高さ競はず雁渡し

街の灯のとほき団栗拾ひけり

うどん屋の奥のひと間や初時雨

極月や子豚重なり眠りたる

陵の森深く入る冬帽子

冬帝へ開く植物園の地図

妻もなき子もなき家の聖樹かな

地図になき道に狐火消えにけり

夭折は子規のみならず雪蛍

どの島も灯りて年の逝きにけり

季刊俳句誌「パティオ」創刊記念祝賀会

 

「パティオ」2018年秋号創刊号

天の河の尾に一舟を繋ぎあふ     環 順子

 

9月16日(日)、「季刊俳句誌パティオ」創刊記念祝賀会が東京・如水会館にて開催された。

「パティオ」は季刊結社誌。

主宰は環順子さん。

環さんは、亡き小澤克己主宰「遠嶺」の主要同人で、後継誌「爽樹」で活躍した。

 

当日は、

主宰挨拶 環 順子

来賓祝辞 大高霧海「風の道」主宰

     大竹多可志「かびれ」主宰

     小山徳夫「爽樹」名誉顧問

     川口 襄「爽樹」代表(祝辞・司会代読)

乾杯   伊藤伊那男「銀漢」主宰

来賓紹介

句会会員紹介

句会運営委員紹介

右端・環順子主宰

などが行われた。

来賓は上記4名の他、

天野小石「天為」編集長

中戸川由美「残心」主宰

日下野仁美「海」副主宰

など。

 

「パティオ」とは「中庭」という意味。

「遠嶺」「爽樹」という結社誌を踏まえ、俳句を愛する人たちの交流の場でありたい、と名付けた。

「爽樹」名誉顧問の小山徳夫さんは、ともに小澤克己の意志を継ぐ者として、兄弟のように研鑽したい、と挨拶した。

小澤克己氏が提唱した「情景主義」俳句を新たに次ぐ結社誌が誕生した。