今週の一句~春暁(しゅんぎょう) 飯田龍太 春暁のあまたの瀬音村を出づ 飯田龍太(いいだ・りゅうた) (しゅんぎょうの あまたのせおと むらをいず) 龍太の故郷、山梨県笛吹市の風景であろう。 春の朝早くの早瀬の音は清廉そのものであろう。 しかし、この句にはどこか哀切がある。 それは「村を出づ」という表現にある。 深読みをすれば、自分はこの村を離れることが出来ない、という寂しさが、この句にある。 瀬音の音が清廉であればあるほど、作者の心を胸打つのではないだろうか。