福引やイオンモールの午後にをり 菊地 悠太(きくち・ゆうた)
(ふくびきや イオンモールの ごごにおり)
都市近郊には、いまや必ず、広大な敷地に建つ「イオンモール」がある。
ここではショッピングを始め、飲食街、エステサロン、スポーツジムなどなど…。
ここなら一日、いや、広いところなら一日では回りきれないほど、様々な店舗や施設がある。
実に楽しい施設ではあるが、一方で、どの地域も、同じような風景になり、同じような家族の風景でもある。
そのことに少し、虚しさを感じないでもない。
掲句。
お正月風景である。
お正月というだけでも賑わいを感じるが、いろいろな店で行われる「福引」は、さらに混雑と賑わいを感じさせる。
掲句は「午後」というのがいい。
華やぎとけだるさがある。
おそらく、作者は「福引」にははしゃぐわけでもなく、淡々と周りの風景を眺めている。
その根底には、上記のような、現代のむなしさがある。