チョコバナナ立てて浅草雪が降り 石井 稔
(ちょこばなな たてて あさくさ ゆきがふり)
「好日」同人。
「チョコバナナ」が俳句で登場するのが珍しい。
しかし、決して奇を衒ったものではない。
高度経済成長期の頃から大きな寺社の境内やイベント会場の露店で売られるようになり、身近なものである。
下町生まれの私としては懐かしい風景…、しかし、今でも容易に見ることの出来る風景だ。
浅草寺の境内の風景であろう。
チョコでコーティングし、カラフルなチョコチップをふりかけた「チョコバナナ」が露店に並んでいる。
しかし、境内には雪が降り始めた。
客足も途絶え、「チョコバナナ」がむなしく(?)並んでいる。
「チョコバナナ」のチョコ色と、「雪」の白の対比が斬新。
「チョコバナナ」という庶民性が「浅草」の風土とマッチしている。