句集・結社誌を読む5~「海」7月号(創刊35周年記念号)

「海」創刊35周年記念号

「海」7月号(創刊35周年記念号)

主宰 高橋悦男、副主宰 日下野仁美、編集長 日下野由季

結社誌、月刊、昭和58年創刊、師系・野澤節子、東京都世田谷区

 

「海」は高橋悦男氏が一代で始めた結社。

その「海」が7月で、創刊35周年を迎えた。

一代で35年というのは凄い。

会員数も多い。

妻で副主宰の仁美さんも活発に活動し、さまざまな俳句賞を受賞している。

娘で編集長の由季さんは俳壇のホープとして活躍、実作のみならず、二年前には野澤節子に関する評論文で、山本健吉評論賞を受賞している。

 

特集号は圧巻の312頁。

特別寄稿には、

「エッセイ」

落合水尾「浮野」主宰

鈴木貞雄「若葉」主宰

片山由美子「香雨」主宰

遠藤若狭男「若狭」主宰

河内静魚「毬」主宰、「俳句界」編集長

坂口昌弘(短詩型評論家)

髙柳克弘「鷹」編集長

「作品」

鍵和田秞子「未来図」主宰

大牧 広「港」主宰

今瀬剛一「対岸」主宰

大串 章「百鳥」主宰、俳人協会会長

稲畑廣太郎「ホトトギス」主宰

という豪華な顔ぶれ。

他に、35周年を記念した、

特別作品コンクール

評論・随筆部門

海各賞(結社賞)

の発表が行われている。

悦男氏は現役時代は早稲田大学教授で、新鋭として注目されていた頃、俳句総合誌すべてに連載を持っていた、というエピソードを持つ。

それゆえ、会員にも実作はもちろん自然と評論など、文章にも長けた人材が多い。

「海」会員に聞いた話だが、多くの人が句会での悦男氏の選評や、余談を聞くのが楽しみなのだそうだ。

「海」は「和」を何より大切にする。

俳句信条は、年鑑や結社誌上には掲載されていないが、以前、「即物具象」を大切にしている、ということを聞いた。

主宰作品や感銘した作品を以下に。

じつと見てをれば角出すかたつむり    悦男

海見えて遠足の列乱れけり

山笑ふ昔はありし貧富の差

恋猫の鈴を失くして戻りけり       仁美

帯なして渓渡りゆく花吹雪        神坂玉子

桜祭火縄銃撃ち始まれり         松原かな子

義経と静の桜並び咲く          山崎辰見

靖国の桜を仰ぐ老夫婦          佐々木武郎

「海」35周年祝賀会は7月16日(月・祝)、東京早稲田のリーガロイヤルホテル東京で開催される。

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