「舞」平成30年夏季特別号
主宰 山西雅子、編集 今井とんぼ
結社誌、隔月刊、平成21年創刊、神奈川県逗子市
山西さんは早くから新鋭、中堅俳人として注目された実力俳人。
近年は文語や文法に関する著作も出版し、文語・文法のよき指南役的な存在感がある、と私は思う。
【主宰作品】
明日葉の雄々しき丈や雨の島 山西雅子
その糸の付け根太々浦島草
作品とともに掲載されていた小文の「タイトル」は「文語・口語」。
いかにも山西さんらしいと思った。
「第四回舞賞発表」があり、秋津寺彦さんが受賞している。
【受賞作品】
けん玉の少女の腰や春惜しむ 寺彦
畑仕事終へて噴井に人の声
草の端の露の大玉落ちにけり
オクラ咲く左はひゑい右くらま
連載では、芭蕉好きの私としては、前田和男さんの「芭蕉研究 『おくのほそ道』」に注目した。
「おくのほそ道」「曽良随行日記」はもちろん、江戸時代に刊行された、「おくのほそ道」の注釈書『菅菰抄』を参考に、「おくのほそ道」の、芭蕉の足跡を丹念に辿っている。
出羽三山のくだり…「天台止観」は私も大いに悩んだ。
なお、編集後記を読むと、「舞」は本号をもって「月刊」から「隔月刊」に移行するとあった。
これは正解であると思う。
俳句結社の高齢化、少人数化が進む中で、月刊にこだわる必要は無い。
むしろ、評論などは隔月刊化、季刊化して、じっくり取り組んだほうがいいと思う。
噂に聞いた話だが、俳人協会などは月刊の結社を基本とし、隔月刊誌、季刊誌では相手にしてくれないという。
山西さんおよび「舞」にはそういう心配はないと思うが、協会も柔軟に対応してゆくことが重要だろう。