著者:山田 牧(やまだ・ぼく)
句集名:星屑珈琲店(ほしくずこーひーてん)
第一句集 ふらんす堂 2018年9月18日
オクラ切るこちら流星製作所
「未来図」同人の第一句集。
昭和47年 東京生まれ
平成19年 宵待屋珈琲店開業
平成22年 お客様の勧めで作句を始める
平成24年 「未来図」入会
平成26年 「未来図」新人賞
平成27年 「未来図」同人
略歴にある通り、句集名と同じ、珈琲店を東京都杉並区荻窪で営んでいる。
この珈琲店には私もよくお邪魔させていただいている。
鍵和田「未来図」主宰が序文を書いている。
山田さんは珈琲店「宵待屋」を営んでおられる。
(中略)
牧さんは穏やかで明るく、包容力の豊かな人柄である。
働き疲れた夕方の人々にとって、ゆっくりくつろげる巣のような存在であるに違いない。
と書かれているが、まさしくその通りで、私は荻窪の句会のあと、ここで談笑の時間を楽しませてもらっている。
中央線次は荻窪いわし雲
エプロンをはづしてよりの春の宵
鳥かごは空つぽ星の冴ゆるなり
ぎつしりと人積む電車冬銀河
このような句に出会うと、いつも通る荻窪界隈の風景と、宵待屋の路地がありありと浮かんでくる。
ただ、彼女の作品の魅力は日常詠というより、しなやかな感性から展開される、ロマンの世界にあるだろう。
上記の作品も、単なる生活詠、日常詠ではなく、日常から詩の世界、ロマンの世界へと大きく展開されている。
家を出て爪の先まで恋の猫
葉桜の下にはじまる紙芝居
一枚の大地の呼吸麦の秋
どの星を連れて帰らう釣忍
ハンモック自分のかたち置忘れ
跋文を担当した、角谷昌子さんは、
空想の翼をいっぱいに広げて自由に宇宙まで飛んでゆく。
と評していて、この一言が、この句集の特徴をよくとらえている。
この句集を読み終え、荻窪の路地にたたずむ宵街珈琲店に向かえば、なにか、自分も「詩の世界の人」になったかのような気分になる。
いつも御来店頂きまして、有難うございます!その上、句集を取り上げて頂き大変嬉しくまた恐縮しております…これまでの自分が丸裸にされ、句集とは恐ろしいものですね…「自分」を生きながら仕事に俳句に向かい合う日々を大切にしたいと思います。この度は有難うございました☆
こちらこそありがとうございます。いつもおいしいコーヒーをありがとうございます。先日、じっくりと読み、感嘆したので、書かせていただきました。ますますのご活躍をお祈りしています。また、お店にお伺いします。