そうか君も所詮歯車蟻の列 中村 猛虎
社会に一歩出ると、自分自身の考えとは異なった事象に悩まされることが多々ある。
信頼していた人間も、人生に於ける一つの歯車でしかない。
蟻に、その無念さを託している。
しかし、私は、私の道を進むしかないという覚悟。
…句集『紅の挽歌』(俳句アトラス刊)
駄菓子屋は間口一間大西日 佐藤 日田路
戦後生まれの私でも、駄菓子屋の存在は知っている。
知っているというよりも、随分通ったものである。
動詞を使わず名詞の羅列と思われるかも知れない。
俳句は余白の質量が物を言う詩であり、沈黙が肝要の詩でもある。
…句集『不存在証明』(俳句アトラス刊)
「紫」2,020年夏号「佳什一滴」(執筆:山﨑十生)