鳥の目の色になるまで葡萄食ぶ 佐藤 日田路(第一句集『不存在証明』より)
作者はあとがきに「私にとって俳句の短さが心地よい。できるなら硝子の心臓が鼓動するような情感を表現したい。」と述べている。
句集全体を通して作者の作品は独創的であり、一句に静かに沈思している作者が見えるようである。
掲句、「鳥の目の色になるまで」という表現に魅かれた。
目の色が変わるほど一心に葡萄を食べているのであろうか。
自分も鳥になったような錯覚を持ったのだろう。
季語「葡萄」に作者の焦点がぴたりと合っている。
氏は「亜流里」「海光」会員。
―「対岸」2020年5月号~平成俳句論考 執筆・加藤政彦―