句 集:紅の挽歌(くれないのばんか)
著 者:中村 猛虎(なかむら・たけとら)
風羅堂十二世にして現代俳句の俊英
待望の第一句集!
順々に草起きて蛇運びゆく
草々は知っているのだ 蛇が神の使いであることを
草が次々に頭を垂れ 神のもとまで運んでいくのだ
無事に着いたかどうかは誰も知らない
【収録作品】
葬りし人の布団を今日も敷く
遺骨より白き骨壺冬の星
少年の何処を切っても草いきれ
この空の蒼さはどうだ原爆忌
手鏡を通り抜けたる螢の火
蛇衣を脱ぐ戦争へ行ってくる
たましいを集めて春の深海魚
三月十一日に繋がっている黒電話
缶蹴りの鬼のままにて卒業す
水撒けば人の形の終戦日
心臓の少し壊死して葛湯吹く
ポケットに妻の骨あり春の虹
【著者略歴】
中村 猛虎(なかむら・たけとら)
本名:中村 正行(なかむら・まさゆき)
1961年生まれ
兵庫県立姫路西高等学校卒
横浜国立大学工学部卒
2005年 句会亜流里 設立
2011年 風羅堂第12世襲名
現 在 句会亜流里代表 現代俳句協会会員 俳誌「ロマネコンテ」同人 俳誌「俳句新空間」同人
〈連絡先〉
〒670-0091 兵庫県姫路市北新在家2-18-7
Mail:mnakamura@knakamura.co.jp