『葛の花』(くずのはな)
著者:中野 貴美(なかの・きみ) 「青海波」同人
初春の神鼓を渡る山河かな
作者は、俳句は歴史、風土と共にある文芸であることを弁えている。
句集『葛の花』は俳句の真髄を心得、一段と表現力に磨きがかかった。充実の作品群である。
―船越淑子「青海波」主宰(帯文)―
【収録作品より】
構へたる欅の白し弓始
うぶすなの風まつすぐに大茅の輪
一人行く又ひとりゆく秋遍路
御手洗にみたす山水夏はじめ
母と子の影もてくぐる茅の輪かな
山は父川は母なり雁渡る
文豪の館へつづく桜かな
楪や水の豊かな阿波に生き
鳥帰る民話の里を置き去りに
竹の秋石にもかつて火の記憶
芽柳や昔藍屋の舟着場
七草や瑞穂の国に生れしこと
【著者略歴】
中野 貴美(なかの・きみ)
徳島県徳島市在住
昭和12年10月7日 徳島県阿波市土成町吉田生まれ
平成10年 「青海波」入会
斎藤梅子、船越淑子に師事
平成17年 「青海波」同人
平成22年 句集『神楽笛』上梓
現代俳句協会会員 日本俳人クラブ会員 徳島ペンクラブ会員
お求めは俳句アトラスまで。
【定価】2130円+税