句 集:枯野(かれの)
著 者:伊藤 強一(いとう・きょういち)
「海光」同人、第一句集
私家版
収録句より
節分や早く帰りて鬼の役
散るそぶりして風さそふ桜かな
秋の蚊の残りの命賭けて来る
うたた寝のじいじ起こすな猫じやらし
青柿の落ちる瞬間風光る
老境の入り口曼珠沙華の燃ゆ
夕焼や旗艦三笠は陸の上
閼伽桶を両手にくしやみ寺男
家族にて使ひ回した宝船
母の日や家計たすけし裁ち鋏
やつことは俺のことかと冷奴
墓洗ふすこしはなれて墓仕舞
さまざまな人生それぞれに枯野
【著者略歴】
伊藤 強一(いとう・きょういち)
東京都杉並区荻窪生まれ、在住
昭和19年4月 東京都杉並区荻窪に生まれる
昭和38年3月 都立荻窪高等学校卒業
同年4月 芝信用金庫入職
昭和42年3月 中央大学第二経済学部卒業
平成21年10月 芝信用金庫退職
平成24年4月 公益財団法人日本テレビ小鳩文化事業団「言葉の寺子屋 俳句塾」受講
平成27年12月 高橋白雀に師事
令和元年11月 林誠司に師事
令和4年11月 「海光」(代表・林誠司)同人