『花暦吟行集』 日下野仁美編著 俳句アトラス
この吟行集は、「海」副主宰日下野仁美氏が「俳句はどのようにして作るの」という問いかけから立ち上げた、女性ばかりの吟行会「花暦」の平成18年から29年迄、130回に及ぶ全吟行の、参加者全員の一句と、吟行記を纏め掲載したものである。
眼前実景、即物具象の「海」の理念を念頭に歩んだ吟行会であったと日下野氏は述べておられるが、どの作品からも「俳句はこのようにして作る」と確実に成果が顕れ、歩きつづけ、詠みつづける意志と努力に感動の一書である。
日下野仁美氏の作品より
子規庵
身にしむや文字の乱るる仰臥録
高尾山火祭り祭
浄め塩踏みて火渡り始まれり
深大寺
薄氷の解けて流れに加われり
編者は、昭和22年生まれ。
平成3年「海」入会。
平成26年「海」主宰。
第4回俳句界受賞等、受賞歴多数。
執筆者:師岡洋子 「鳰の子」2018年12月号「句集に学ぶ」