句 集:ヒヤシンス
著 者:杉原 青二(すぎはら・せいじ) 第一句集
【序 文】 中村 猛虎「亜流里」代表
【跋 文】 林 誠司「海光」代表
理科室の光歪めるヒヤシンス
これまでの句をまとめて、まずは記録に残しておこう。その上で捨て去り、次のステップに進んでいこう。自分のDNAに嵌るスタイルを模索し、だれも見たことのない俳句の世界を見てみたい。
―杉原 青二(あとがきより抜粋)―
【収録句より】
遊べよとばかりに引きし彼岸潮
三代のふぐりを見たる扇風機
蛇泳ぐ川面にエノラ・ゲイの影
蛍火か骨片かもうわからない
月読の陰に蛍が棲んでゐた
沢蟹を怒らせてゐる男かな
母逝きぬ金魚のごとく化粧して
包丁を入れても笑ふ鯰かな
万緑の山へ指呼する転轍手
鷹柱熊野古道は海に入る
妻帰る雪の匂ひをつけてきて
沼涸れて地下に帝国あるごとし
ISBN978-4-909672-26-1 定価:2,500円(本体2,273円+税10%)
【著者略歴】
本名:杉原 基弘(すぎはら・もとひろ)
昭和31年生まれ。
兵庫県立龍野高等学校卒。
同志社大学法学部法律学科卒。
兵庫県庁勤務(中播磨県民局県民室長、県立大学事務局副局長、防災企画局長、監査事務局長などを歴任)
学校法人行吉学園理事兼総務部長
平成22年 句会「亜流里」入会
平成24年 句会「ブラン」入会
現代俳句協会会員。
兵庫県たつの市在住
信之先生に『ヒアシンス』をありがとうございました。わたくしも拝読させていただきました。わたくしの好きな句を挙げ、お礼に代えさせていただきます。
理科室の光歪めるヒアシンス
湯たんぽの水捨つるとき水を見る
南大門外は野菊の吹かれをり
春陰やかさと崩れる母の骨
阪神忌花屋に水のこぼれをり
少年のレタスの胸に聴診器
目立て屋に鋸を預けて雪催
万緑の山に指呼する転轍手
どんど掻くその夜の夫に火の匂ひ
分厚さがうれしき夏の時刻表
舟板を突き上げてくる青葉潮
一日を降られし山に虹の足
正子さま メールありがとうございます。お元気でお過ごしください。