句 集:花鳥の譜(かちょうのふ)
著 者:海野 弘子(うんの・ひろこ)
声明のはたと止みたる落花かな
舞踏会へと趣くような華麗な美しさに憧れた若き日々。
戦争によって封印された時代の記憶は、今、命の輝きのしずけさとなって蘇る。
海野さんが生涯を賭して追い求めた美のかたちが、ここに在る。
―「晶」代表 長嶺 千晶―
【収録作品】
昭和史に黒く塗りたる桜かな
白梅や弓のかたちに弓袋
天窓の新緑われは深海魚
薔薇色の朝にひとなき露台かな
サルビアの並列をゆく葬車かな
絵に画きて患部告げらる稲つるび
蟋蟀や容老いたるコンサイス
萩くくる己に容赦なきよはひ
天狼星や距離無限なる父の膝
母の忌の箸の両細さくら冷
ISBN978-4-909672-17-9 定価2091円+税
【著者略歴】
海野 弘子(うんの・ひろこ)
本名 同じ
1935年 静岡県生まれ
1992年 「握手」入会、磯貝碧蹄館に師事
2007年 握手賞受賞
2012年 「握手」終刊後、長嶺千晶代表「晶」入会
2015年 句集『FLOWER』刊行
《現 在》 「晶」同人 俳人協会会員 現代俳句協会会員