『修二会』 (しゅにえ)
著者:渡辺 政子(わたなべ・まさこ) 「雲の峰」同人
奈良生駒に生まれ、東大寺近くに暮らす作者が丹念に取材し、
〝産土″を詠いあげた珠玉の一集!
修二会果て矢来の竹の堆し
修二会の満行(3月15日)の後の境内の一景。
組まれていた竹矢来の量に着目する。
このように、修二会にしても、始まる前から終わった後まで日を違えて足を運び詩情を探すのが作者の真骨頂である。
―朝妻 力「雲の峰」主宰―
【収録作品】より
身に入むや兜脱ぎゐる智将像
猿沢の池に夕べの花火屑
売り物のラヂオ鳴らせる年の市
薪能燠美しく果てにけり
古文書に御璽の朱の濃し今朝の冬
長き夜の絵詞に読む古事記伝
花会式あす結願の舞台組む
寒禽の声の明るき禁猟区
石棺の蓋も寺宝や夏に入る
月祭る三輪の斎庭に在釜札
鶏を騒がせ消ゆる秋の蛇
平成を惜しみてあふぐ朧月
【著者略歴】
昭和18年1月 奈良県生駒市生まれ
平成9年7月 「俳句通信」(現「雲の峰」)入会
平成10年1月 「春耕」入会
平成11年 「俳句通信」同人
平成12年 「春耕」同人
平成30年 「晨」同人
現在、奈良県奈良市在住
俳人協会会員
大阪俳人クラブ会員
大阪俳句史研究会会員
奈良県俳句協会理事
アカデミーなら「俳句」講師