句 集:顔の原型(かおのげんけい)
著 者:石井 稔(いしい・みのる)
「好日」同人、第二句集
ISBN978-4-909672-36-0
定価:2,750円(税込)
コロナ禍を経て社会も人も大きな変化がありました。しかし今はっきりと思うことは、俳句の韻律と芳醇な季語の世界は変わることがないということです。そしてさらに言えば、俳句に詠われる人間の心は何ら変わることがないということです。コロナ禍はそんな確信を私に与えてくれました。
ー石井稔「あとがき」よりー
収録句より
万物に色あり木瓜の花の咲く
春宵の触れれば冷えしものばかり
青々と雨音のして豆ごはん
東京は故郷ベランダに茄子の花
かあさんはソファーの長さ小六月
朧夜のクラリネットに手の温み
武器持ちしことなきわが手衣被
微笑みが顔の原型草の花
話すやうに書く手紙なり桃の花
コップにパセリぼんやりとした平和
追ふでなく振り向くでなく年用意
白梅のきつぱりプラトニックなり
蝶は自在飛ぶも止まるも死ぬことも
物すべて垂直に落つ菊日和
冬の日の扇に開く色見本
【著者略歴】
千葉県佐倉市在住
1958年 東京都台東区生まれ
1998年 「好日」入会
2001年 「青雲賞」受賞
2010年 「好日賞」受賞
2012年 第一句集『月曜の茸飯』出版
2023年 「白雲賞」受賞
《現 在》「好日」白雲集同人、現代俳句協会会員