句 集:旦夕(たんせき)
著 者:荒川 心星(あらかわ・しんせい)
菊焚いてこの世といふは遊びごと
著者が卒寿という歳月を貫き通して来たものは、詩人としての遊びごころであろうか。逢えば暮らしを語り、夢を語る著者の遊びごころが美しき詩を生み出している。
-増成 栗人「鴻」主宰-
【収録句より】
爽やかにあり一瀑の水こだま
亡き母に語りかけては黒穂抜く
遠きものばかりが見えて螢の夜
百の薔薇咲きゐて百の日向あり
熔岩原を踏めば晩夏の声がする
貝風鈴しんそこ青き月のぼる
澄みきつてをり旧盆の潦
潮騒を聴き手花火を落とし合ふ
棉吹いて吹いて鴻司の忌でありぬ
歩を止めよなづなはこべら咲く辺り
十二月病む妻の手のあたたかし
この家に生れしはむかし麦の秋
ISBN978-4-909672-28-5 定価2,800円(税込)
【著者略歴】
愛知県知立市在住。
1931年 愛知県豊田市に生まれる
1970年 「松籟」入会
1972年 「河」入会
1975年 「松籟」同人
1978年 「河」同人
2006年 「河」退会
2007年 「鴻」入会
2012年 「鴻」蒼韻集同人
現在 俳人協会会員、「松籟」天韻集同人、「鴻」特別顧問、「星の道」主宰
知立市文化協会文化功労賞受賞(2005年)