句 集:壺中の蝶(こちゅうのちょう)
著 者:飛鳥 もも(あすか・もも)
この生を詩に咲かせたし柿の花
作者は短い人生を詩的抒情性をもって、自然とともに十七音にこめる。
菜の花は故郷や母の歌声を思い出させ、月を見れば父の魂に話しかける。
しゃぼん玉は残りの生の儚さを象徴する。
水や石は春の光にふくらむ。
作者の詩魂は夢の蝶に化身して、壺中で自由に飛びまわる。
俳句という〝壺中〟に造化の不思議がこめられる。
―坂口昌弘-
【収録句より】
その席は君がかがやく花ミモザ
ひだまりの石のふくらむ桃の花
夢ごこち出入り自由の壺の蝶
頬杖はときに道草春の雪
現し世の光集めてしやぼん玉
昔から君は壺中で遊ぶ蝶
打ち水の乾き月日は飛ぶやうに
水音やあぢさゐの青ふくらます
夫の背やいづれは一人夏蜜柑
忙しいを美学のやうに蟻地獄
引力と浮力の関係夏の恋
白日傘ひらいて今日の翼とす
もう父を召させ給へよ冬椿
ISBN978-4-909672-30-8 定価3,300円(税込)
【著者略歴】
兵庫県川西市在住
1952年3月 大分県日田市出身
現・大分県立日田三隈高等学校卒業
1972年 大阪にて就職
1981年 独立
2014年 退職