句 集:懺悔室(ざんげしつ)
著 者:松本 余一(まつもと・よいち)
薄情の世に慣れてをり甘茶仏
私は前向きに、あるいは楽しい人生を目標に、「生きていてよかったと思える老後」のために、生きて来たので決してない。選ぶ余地のない、仕方のない、そしてぎりぎりなところを生きてきた、と言ったほうが当たっている。
ー「あとがき」よりー
収録句より
死ぬ前にみんな笑うて花の雲
啓蟄やみんな三十七度五分
不登校は勇気要ること葱坊主
水筒のつめたい緑茶夏期講座
矢車や夜は星座を駆けめぐり
炎天下まだけりつかぬまま訃報
君すでに寝たきりとなる花野かな
残菊や好きに咲いたら好きにしろ
鷹の目に水の星だとわかるまで
友だちは女性ばかりや枇杷の花
早梅や自分のことで精一杯
日溜りは余生の為に野水仙
ISBN978-4-909672-33-9 定価2,750円(税込)
跋文:林 誠司
【著者略歴】
本名・成雄 東京都小金井市在住
昭和14年 東京都小金井市生まれ
昭和37年 青山学院大学文学部英文科卒
平成29年 NHK学園「土曜俳句教室」受講、「ひろそ火」入会、木暮陶句郎に師事
平成31年 第20回NHK全国俳句大会 入選
令和2年 第8回ひろそ火賞 佳作
第21回NHK全国俳句大会 秀作
第23回夢二俳句大会 上毛新聞社賞
令和3年 第9回ひろそ火賞 佳作
第22回NHK全国俳句大会 入選
「海光」入会、林誠司に師事
句集『言霊』刊行
令和4年 句集『ふたつの部屋』『言霊Ⅱ』刊行