今週の一句~春 松尾芭蕉 

春なれや名もなき山の薄霞   松尾芭蕉

(はるなれや なもなきやまの うすがすみ)

 

芭蕉最初の紀行文『野ざらし紀行』の一句。

前の文に、

奈良に出(いづ)る道のほど

とある。

芭蕉は年末年始を故郷・伊賀上野で過ごした。

そこから奈良へ出て行った。

3月の奈良東大寺の「お水取り」を見に行ったようだ。

柳生の里を通っていたのか、笠置を通って木津川沿いを通って行ったのか。

伊賀と奈良は昔から往来が深かった。

この句が「奈良」だとわかると、「名もなき山」という意味がより理解出来る。

奈良には「名のある山」ばかりだ。

大和三山の畝傍山・天の香具山・耳成山

二上山

生駒山

信貴山

金剛山

葛城山

若草山

三笠山

高円山

三輪山

などなど…、すべてが「神宿る山」である。

全ての山が春を迎え、薄霞を纏っている。

そして、名もなき山(芭蕉が知らない山」も薄霞を纏っているのだ。

大和盆地の美しい春霞の風景が、ありありと浮かんでくる。

「春なれや」などという言葉は現代俳句では使われないが、

春立つや

春来たり

春深し

よりも、詠嘆が深い。

あ~本当に春が来たんだな~。

という印象がある。

 

 

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