猫の尾のふれて弾ける鳳仙花 新谷 壯夫
(ねこのおの ふれてはじける ほうせんか)
鳳仙花の実は成熟すると勢いよく割れて内包された種が四散する。
この仕組みはスミレなどにも見られ、広範囲に増殖するための構造である。
割れた皮がくるりと捲(ま)き上がることで指で弾いた状態となり、1メートル先まで飛ぶこともある。
無遠慮な猫の尾が触れればその衝撃で弾け、猫の体に付いてさらに遠くまで運ばれるのだから、植物の巧みな手段にあらためて感心する。「鳰の子」同人。
―愛媛新聞令和元年8月20日(火) 土肥あき子「季のうた」―