西岡みきを句集『秋高し』が「山彦」11月号(2021年)で紹介されました!

「雲の峰」同人の第一句集。

釜山生まれだが、昭和19年、山口県熊毛郡周防国民学校、昭和40年、山口大学医学部大学院修了とある。

高松市在住。

平成18年、「雲の峰」に入会し、朝妻力に師事。

 

逆さまに雲の垂れゐる日暮時

ゆつくりと屋島を昇る朝の霧

風鈴を吊るし山風呼びにけり

トルコ産の松茸尽し子らも来て

妻と酌むバレンタインの日のワイン

母の忌や厨の蠅をそつと追ふ

犬連れて風と遊ぶ子秋高し

行く春の札所の辻に竹箒

 

実に平易で作者の姿や表情が浮かぶ。

日常の出来事や眼にした風景をそのまま叙したような句だが、それが俳句になるのは作者の人間性、向日性、気負いのなさであろう。

主宰の序文でも「徹頭徹尾真摯である」と述べられている。

この一書は風土と一体化した作者の日々の哀歓の諷詠である。

(令和3年7月15日 俳句アトラス 2,500円(税込))

 

-「山彦」11月号(2021年)「受贈俳書紹介」 執筆・河村正浩)-

 

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