句 集:馴染の鴉(なじみのからす)
著 者:西岡 みきを(にしおか・みきお)
「雲の峰」同人、第二句集
ISBN978-4-909672-35-3
定価:2,500円(税込)
『馴染の鴉』は『秋高し』につづく著者の第二句集である。「秋高し」ではお住まいの地、香川県屋島を中心に丁寧に詩情を探した好句が多かったが、『馴染の鴉』では、更に対象に踏み込んでいるのが分かる。〈目鼻立ち良き子猫〉〈さきほどの蝶〉〈馴染みの鴉〉などの作品をみると、子猫や蝶や鴉が俳句の対象としての存在でなく作者自身の一部として、作者の友として作者と共に生きていることが分かる。対象と共生する、自然と共生する心情が見事である。
―朝妻 力「雲の峰」主宰―
収録句より
目鼻立ち良き子猫居る札所道
我が背より高く鰡飛ぶ薄暮かな
さきほどの蝶に出くはす帰り道
首振りて鳩きびきびと若葉風
父の日や大吟醸を仏前に
麦稈帽父と泳ぎし頃をふと
分け合ひておじや啜りし戦後ふと
蒙古風馴染の鴉見当たらず
久し振りに碁石並ぶる夜長かな
道問はれ遍路としばし同行す
麻痺したる手を振る母や余花一樹
収穫を終へたる棚田鵙高音
【著者略歴】
西岡 みきを(本名:西岡 幹夫)
香川県高松市在住
昭和11年1月3日生まれ
昭和35年3月 山口県立医科大学卒
昭和40年3月 山口大学医学部大学院卒
昭和41年12月 山口大学助手
昭和48年7月 ワシントン大学医学部(シアトル)に留学、昭和50年8月帰国
昭和54年6月 山口大学医学部講師、同12月 助教授
昭和57年4月 香川医科大学教授
平成13年4月 香川医科大学名誉教授、現在に至る
平成15年4月 愛媛労災病院院長、平成18年定年退職
以降、地域の病院で消化器内科の診療に携る他、高松大学生涯学習教育センター講師、さらにNHK文化センター高松講師を務め、現在に至る。
平成18年 俳句結社「雲の峰」(朝妻 力主宰)に入会
令和3年7月 第一句集『秋高し』刊行
《現 在》 「雲の峰」照葉集同人、公益社団法人俳人協会会員