句 集:曙光のガレ場(しょこうのがれば)
著 者:野田 冷峰(のだ・れいほう)
シングルマザーつかず離れずお月さん
冷峰さんが生み出す一連の作品は、現代における社会性俳句と言っていい。
社会性俳句を定義することは難しいが、彼の作品には、戦争・原爆・事件・格差社会・生活困窮・過疎化など、あらゆる社会問題や不条理に関心を持ち、事件記者としての鋭い視線と、市井人としての優しさの融合をもって詠いあげる、豊かで切ない詩情が顕著である。 ―林 誠司―
【収録句より】
子を連れて詫びたあの日の月夜かな
エノラゲイ雲間に見ゆる聖夜かな
夜食にも一行詩あり子らの飢
夏山の移動販売婆が待つ
黒葡萄刑執行の房重し
非正規を生きてサクサク霜柱
三十年御巣鷹の尾根露しぐれ
君が代にそむく一輪菫咲く
つまずけば呼ばるる思い秋彼岸
山茶花や妻在りし日も逝きし日も
波照間の水平線に銀河澄む
身に入むや弾圧史碑に蝌蚪一匹
敗戦日現人神の罪と罰
ISBN978-4-909672-31-5 定価2,750円(税込)
【著者略歴】
東京都東久留米市在住 本名:幸雄(ゆきお)
1942年 東京都豊島区池袋生まれ
1961年 日本経済新聞社入社 編集局工業部中小企業課配属、商店街担当記者
1966年 社会部に転属、事件記者
以来、記者生活30有余年を主に事件取材で過ごす。
1995年 法務室長
2000年 役員待遇
2006年 定年退職
俳句は1997年よりスタート。
日経社会部OB句会「酔吟会」に参加、その後「日経俳句会」「番町喜楽会」「谷端川句会」「谷中句会」などに参加。
2016年 俳句愛好誌「海光」(代表:林誠司)に創刊より参加
NPO法人大明理事、「海光」同人